第6セッション
演題 4
水分散性鉄材の腸管吸収性に対するCPPの影響
発表者 ○横式 沙紀1)、松本 恵1)、原 博1)、葛西 隆則2)
(北大院農応生科1)、藤女子大食物栄養2)
【目的】カゼインフォスフォペプチド (CPP) は牛乳の主要タンパク質であるカゼインより産生される生物活性ペプチドで、カルシウム吸収亢進作用が報告されている。しかし鉄吸収への作用は報告がない。そこで、サプリメントとしてよく使われる、水分散性ピロリン酸鉄の吸収に対するCPPの反復摂取の影響を出納試験により検討した。鉄源の特性を把握するため、ラット標準飼料AIN93Gで使われているクエン酸鉄を用いて比較検討した。また、水分散性ピロリン酸鉄の吸収に対するCPP同時投与の影響を、単回投与後の門脈血清鉄濃度の経時的変動により調べた。
【方法】・試験1飼料中の鉄出納(正味吸収率)に対するCPP摂取の影響 SD系5週齢の雄性ラットを、標準飼料AIN93Gで一週間馴化後、SA-Feあるいはクエン酸鉄を用いた卵白ベースの試験食に、CPPを0.5%あるいは1%添加した試験食(対照、CPP無添加食)、計6群で3週間摂取させた。その間、4日間の糞を2回全量採取し、各ミネラル排泄量と摂取量より正味の吸収率を算出した。
・試験2胃内へのSA-Fe単回投与後の門脈血中鉄濃度変動へのCPP同時投与の影響 Wistar-ST系7週齢の雄性ラットを用い、標準飼料で1週間の予備飼育後、門脈にカテーテルを留置した。一日絶食後、初期値測定用の門脈血を採取し、一群6匹として、水分散性ピロリン酸鉄を4r Fe/10ml・s体重を蒸留水に懸濁させたものと同時にCPPを44.0r/10ml・s体重を加える群と加えない群の二群に分けた。被験試料を投与後、6時間まで経時的に門脈血を採取した。
【結果・考察】・試験1 CPP添加飼料摂取により、水分散性ピロリン酸鉄からの鉄吸収率は有意に増加した。・試験2 単回胃内投与により、水分散性ピロリン酸鉄の門脈吸収はCPP添加により増加した。以上より、CPPは使用した鉄源の吸収を促進してすることが示された。
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