第4セッション
演題 1
上腕周囲長・上腕三頭筋皮脂厚計測の
手技教育法と測定誤差の関連
発表者 ○小泉雅奈1)、佐藤香苗1)、根本亜矢子1)、須江洋一2)
( 藤女子大学1)、石狩病院2)
【目的】身体計測は簡便かつ汎用性の高い栄養評価法である。栄養管理上、正確なデータ収集が必要不可欠であるが、管理栄養士養成課程における身体計測の指導は、手技マニュアルや写真、口頭説明によって行うことが多く、医師による少人数制の実技指導は、ほとんど実施されていない。このことにより、学生は測定部位や皮下脂肪のつまみ方等を正しく理解できず、測定値に誤差が生じることが考えられる。そこで、本研究では教育法および測定回数と測定誤差との関連ついて検討したので報告する。
【方法】関連講義・実習で身体計測手技法を修得済みの管理栄養士養成課程4年生4〜5名が計測者となり、被験者5名(女性、23.6 5.3歳)の上腕周囲長(AC)・上腕三頭筋皮脂厚(TSF)を次のA・B、2通りの方法で1日6回・連続2日間計測した。A法は栄養アセスメントキット(アボット社)のマニュアルや写真を用いた口頭説明後に計測し、B法は医師1名が学生4名1組を対象として、60分の実技指導を実施した後に測定をした。教育法および測定日ごとにAC・TSFの測定値の変動係数を求めて、個人間・内誤差を検討した。
【結果および考察】教育法と測定値の変動係数の関連については、AC・TSF、個人間・内すべてにおいてB法がA法より誤差・分散ともに顕著に小さかった。これについては、測定部位と皮下脂肪のつまみ方を正確に理解できたことによると考えられた。
測定回数のくり返しによる変動係数の差異はみられなかった。反復練習よりも測定法の正しい理解が、正確なデータ収集につながることが確認できた。

【まとめ】AC・TSF計測の手技教育法と測定誤差には関連がみられ、医師による少人数制の実技指導の教育効果が高いことが示唆された。身体計測による客観的な栄養評価法の確立のためには、学生の理解度に応じたきめ細やかな実技指導が望まれる。
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