第2セッション
演題 1
当院の糖尿病教育入院クリニカルパス栄養指導
−バリアンスを生かし、良好なコントロールができた症例−
発表者 ○小泉 絵理、寺山 里恵、野口 枝美、田原 由美
(JA北海道厚生連帯広厚生病院栄養科)
【はじめに】当院では糖尿病教育入院クリニカルパス(以下CP)を実施して約5年半が経過し、今年9月末日までのCP利用患者は約180名を数える。CPの実施により多職種が関わり、標準的かつ計画的な治療を目指しているが、個々に応じた対応が迫られることもある。ここではバリアンスが良好なコントロールのきっかけとなり、効果的な治療を行えた症例を発表する。
【CPの現状と最近の傾向】当院のCPは2週1サイクルで月曜日入院、翌週金曜日の退院を基本とし、第1週目に集団指導と1回目の個人指導、翌週に2回目の個人指導、退院後に外来受診時に合わせて継続指導を行う。CP対象患者の抱える背景や入院に至る経緯は様々で、入院目的も多岐に渡るため、患者個人への細やかな対応が迫られるケースも多々生じている。
【症例】35歳男性。以前から高度肥満、肝機能障害、高血糖で医師に食事療法を勧められるが治療を拒否し続けていた。数ヶ月振りの再診時に、随時血糖678mg/dl、HbA1c 14.9%、ケトーシスを認めたため即日入院となり、インスリン強化療法と食事療法を開始した。患者の強い希望で計画を早めて退院したが、外来にて継続指導を行うことで、入院から約半年でFBS101mg/dl、HbA1c5.0%へと改善した。
【結果・考察】この症例ではバリアンスが生じたが、結果的に良好なコントロールにつなげることができた。患者は35歳と若く、必要な情報を提供することによって治療技術の習得と生活習慣の改善が比較的容易にできたと考えられる。
 今後も患者の抱える問題を理解してより細やかな指導を行い、教育入院がその後の治療の良い動機付けとなり、有効な治療となるよう努力していきたい。
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