第4セッション
演題 4
食品の自主検査
第2報)生鮮食品の操作回数について
発表者 〇和泉由佳理 隈元晴子 佐竹麻実 宍戸里奈 高平道子 平泉幸子
(宮の森記念病院)
【目的】前報では食材の自主検査結果を活用しながら、食材の消毒方法や調理済み食品の温度管理の徹底などに関して調理マニュアルの改善点を述べた。今報では生鮮食品を調理操作回数別に細菌数を検討した。その結果から食事の安全性をより確保するための改善策を、フードサービスシステムの変更にまで展開したので報告する。
【方法と対象】食品微生物検査対象は生食で提供する鮪。鮪の柵を提供する形態別、刺身、たたきの別に細菌数を比較した。また購入から保存、調理手順から盛付け、配膳、喫食に至るまでの工程を、主として温度と時間の管理面より見直した。検査項目は生菌数、大腸菌群数、黄色ブドウ球菌、サルモネラ、腸炎ビブリオで検査機関は外部委託。
【結果】生菌数は柵では160個、柵から刺身では8000個、さらに刺身からたたきでは43000個であった。つまり刺身は柵の50倍、たたきは刺身の5倍でさらに、たたきは柵に比して270倍と著しい増加。また大腸菌数は柵10個以下、刺身10個、たたき110個と生菌数と同様に操作回数の増に比例して増加。これらの結果を札幌市の食材検査(すし種)基準参照では、たたきの大腸菌群数のみが許容範囲を若干に超え他は許容範囲内であった。許容範囲内ではあるがたたきの大腸菌群数のみが上限にあった。他の細菌群はすべて陰性。また当院はクックサーブのため配膳手順は加熱調理品を先付け、刺身は調理後冷蔵保存し後付けのため喫食まで時間を要し更なる細菌の増が想定される。よって厨房内の温度湿度の環境も整うクックチルシステム(個別再加熱方式)の導入を決定。
【考察】再加熱カートにより一次調理品をカート内に先付けし二次加熱をするため、刺身は提供間際に調理し後付けが可能となる。また加熱調理品も二次加熱後、誰の手も触れずに喫食者に提供され細菌の増殖経路が遮断される。また、調理操作回数と細菌数増加の関係は、加熱済調理品でも同様であると推察されるためきざみ、ブレンダー食の安全性も検討課題とする。
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