第1セッション
演題 3
クローン病患者の栄養摂取状況
―5年前の調査結果との比較と最近の傾向―
発表者 ○松田環季、竹内夕紀子、東貴代、三岩富美恵、吉田典代
(北海道IBD食食事療法研究会)
【はじめに】クローン病患者の栄養摂取状況と緩解維持の関係を明らかにすることを目的として食事アンケート調査を実施した。食事内容から各栄養素を算出し、患者の緩解状況との関連性を検討した。又、5年前に実施した同様の調査結果と比較することにより、食事内容の推移についても考察した。
【対象と方法】3日間の調査用紙を郵送で配布した北海道IBD患者会所属のクローン病患者91名の中で栄養指導受講の有無について回答のあった38名を対象とした。食事内容には食品に加えて栄養剤摂取の有無と摂取量の記載も依頼した。
【結果と考察】平均年齢は35歳(最高72歳・最低17歳)、平均罹病期間は12年間(最高37年間・最低1年間)、緩解維持患者は30名(79.9%)、栄養食事指導受講経験者が33名(87.8%)で、栄養剤併用者は28名(73.7%)であった。平均脂質摂取量は20.0g/日(最高47.2g/日・最低7.1g/日)、食事のみで26.6g/日、栄養剤併用者で17.8g/日であった。平均n―系PUFA比は2.0(最高11.3、最低0.3)であった。
 5年前と比較し、平均脂質摂取量は若干ではあるが減少し、患者は低脂肪食を実施している結果となった。又、n―系PUFA比も減少していた。これは、栄養剤併用者が増加していることが要因であるとともに、栄養指導受講率が増加し、食事療法の指導・教育が少しずつ浸透している現状が伺われる。全国統一の栄養・食事指導マニュアルの確立と食事栄養指導に携わる栄養士・管理栄養士のますますの研鑽が必要と考える。
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