第8セッション演題 2

調理過程における疲労自覚とフリッカー値の変化

発表者 ○石澤恵美子、安田直美、橋爪亜希子、坂本惠、侘美靖(北海道文教大学)
【目的】 長時間の調理作業においては,安全に配慮しながら集中力を切らさない精神状況 を保つことが重要である。我々は安全と作業効率検討の基礎資料を得るため,調理過程に おける疲労自覚とフリッカー値を測定した。
【方法】

調査対象は、北海道内のB短大に付属する調理師養成課程に在籍する学生18名 であった。調査日は平成15年6月10日と17日で,疲労自覚については30項目からな る疲労自覚調査票(日本産業衛生協会産業疲労研究会1970)により,6時間の実習( 8:00〜14:00)の直前と直後に測定した。また,神経性の疲労指標であるフリッ カー値は実習直前・中間・直後の3時点で測定した。統計的有意水準をP<0.05とした。

【結果】
実習直前に比べ疲労自覚レベルが直後で有意に上昇した項目数は,初回実習では 30項目中6項目であったが、2回目実習では1項目のみであった。I群「眠気とだるさ」、 II群「注意集中の困難」、 III群「局在した身体的違和感」のそれぞれについてみると、初 回実習ではI群とIII群に有意な増加がみられ、2回目実習では変化が認められなかった。 調理作業時の役割により比較したところ,初回実習ではI群においてリーダーよりリーダ ー以外の増加が有意に高かった。フリッカー値は初回と2回目で時間推移に差がみられた ことから、細かな作業の頻度や食材処理中の化学物質の影響と推察された。また前夜の睡 眠状況による差も認められた。以上の結果から,同様の実習を2回連続で行なうと疲労自 覚は軽減される様子が見られたが,作業中の役割と前日の睡眠状況も疲労に影響すると推 察された。
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