第6セッション演題 3

小学生の精神的健康と生活習慣の関係
−ロジスティック回帰分析による検討−

発表者 ○高橋朗子(藻岩小学校)、山際睦子(幌西小学校)、大滝裕子(北白石小学校)
栗原絹子(北の沢小学校)、三塚真理子(手稲中央小学校)、本間真知子(陵北小学校)
向井ひとみ(北園小学校)、岡本美千子(手稲山口小学校)、小椋美雪(緑丘小学校)
菊地るみ子(北野中学校)、岡野五郎(札幌医科大学)
【目的】 我々は昨年の本学会で、小学生の不定愁訴(身体的、精神的なものを統合) と生活習慣の関係を多変量解析によって検討し明らかにした。最近、イライラ、根気 がない、暴れ回る、無気力などの精神症状を呈する児童が増えているとの点に注目し、 本研究では精神症状の良否と生活習慣の関係を検討した。
【方法】

対象は、札幌市内の6小学校における5,6年生である(男子460名、女 子428名)。 小学生版「自覚症状しらべ」の20項目のうち、精神に関する6項目 を用いた。この際、各項目は点数化(よくある3点、ときどき2点、ない1点)し、 総点の三分位数から二値化(悪い:第3三分位、良い:第1,2分位)した。また、 体格・食生活・休息・運動、習い事、悩み・心配事などの生活習慣に関する調査を行 った。そして、χ2独立性の検定および多重ロジスティック回帰分析(ステップワイ ズ法)により、精神的健康度を低下させる生活内容を検討した。

【結果】
ロジスティック回帰分析の結果、精神的健康度の低下に関係した要因は男女 共通では悩み・心配事の程度(オッズ比(OR)=7.1(男),OR=10.1( 女):たくさんある/ない)であった。この他、男子では夜の間食(OR=2.9: よく取る/ほぼ取らない),清涼飲料水の摂取頻度(OR=2.9:よく飲む/ほぼ 飲まない)および食事の楽しさの程度(OR=2.9:楽しくない/いつも楽しい) であった。また、女子では、ゲーム実施時間の長さ(OR=3.7:2時間以上/1 時間未満)、夕食時刻の規則性(OR=2.4:不規則/規則)、運動部活動の有無( OR=1.9:なし/あり)などが、精神的健康度の低下と有意に関連する項目であ った。
【結語】
精神的健康度の低下をもたらす最も大きな要因は、男女とも悩み・心配事で あるが、男子では食生活の影響が、また女子では食生活に加え、ゲームや運動に関す る影響も強かった。
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