第4セッション演題1

小学生の不定愁訴に関連する生活要因の探索
―多変量解析による検討―

発表者 向井ひとみ(北園小学校)、山際睦子(幌西小学校)、大滝裕子(大谷地小学校)、栗原絹子(北の沢小学校)、三塚真理子(手稲中央小学校)、本間真知子(陵北中学校)、、高橋朗子(藻岩小学校)、岡本美千子(手稲山口小学校)、小椋美雪(真駒内緑小学校)、岡野五郎(札幌医科大学)
【目的】

 昨年の本学会で,不定愁訴状況及びそれに関連する生活習慣上の要因を単相関分析で検討し報告したが,単相関分析では,説明変数相互の影響を除去し,目的変数との真の関係を示すことはできない。又,どの生活項目が不定愁訴量とより強く関係するかも明確ではない。そこで本研究で,多変量解析を用い,この点を検討した。

【方法】  5,6年生の男子456名,女子427名を対象に,形態,食生活,運動,休養ならびに不定愁訴に関する状況を自記式で調査した。愁訴項目は,産業疲労の「自覚症状調べ」の項目を参考に21項目選び,「よくある」(3点),「時々」(2点),「ない」(1点)の3選択で回答させた。21項目の総得点から,3分位数により分け,第一及び第二3分位を愁訴の少ない群,第三3分位を多い群とした。これを目的変数とし,説明変数には予めχ独立性の検定で目的変数と相関した生活習慣上の要因,ならびに「外遊び」「塾・習い事」の項目を加えて選び,数量化2類で要因分析を行った。
【結果】

 数量化2類ではカテゴリィー範囲の大きさが,不定愁訴との関連の強さを示す。範囲が大きい上位5つの要因は,男子は「清涼飲料」「悩み,心配事」「食事の楽しさ」「夜の間食」「外遊び」,女子は「悩み,心配事」「ダイエット」「ゲーム時間」「体重の減量・増量」「テレビ時間」の項目であった。また,これら項目のカテゴリィー量の大きさから,不定愁訴を増加させる生活内容は,男子は“清涼飲料の摂取過多”“食事が楽しくない”“夜の間食の摂取過多”“外遊びをしない”“悩み,心配事がある”。女子は“悩み,心配事がある”“ダイエット経験がある”“ゲーム時間が長い”“体重を減らしたい”“テレビ視聴時間ガ長い”などであった。

【結語】

 小学生の不定愁訴の発現には,精神ストレスやテレビ,ゲームなどの娯楽に関する状況の他,食生活に関する要因が大きくかかわることが明らかになった。