第3セッション演題2

体育系部活動に所属する男子高校生を持つ母親に対する栄養教育

発表者

○菊地(山口)和美(酪農学園大学食品科学科)

【目的】

 本報告は、体育系部活動に所属する男子高校生を対象として食事に関する調査を行い、栄養指導の基礎資料を得る目的で検討した.

【方法】

 札幌市立硬式野球部男子高校生20名を対象として、質問紙法によるアンケート調査ならびに3日間の食事記録を200112月に行った.解析方法は単純集計、相関分析、群間の比較はt-検定、分散分析を用いた.

【結果】

 1 男子高校生の体格は普通(BMI 18.5以上25未満)、健康状態は良好であった.
 2 男子高校生の食事は母親が調理し、朝食と夕食は自宅、昼食は学校で弁当を摂っており、母親の食に対する意識が食事の味付けなどに影響している.
 3 食習慣では「肉、魚、大豆、卵を食べる」という回答が多く、「海草を食べる」は少なかった.食習慣は点数化すると平均6.1±2.1点となった(10項目×肯定的回答を1点として算出).
 4 主食、主菜、副菜のバランスでは、対象者は主食を毎食欠かさず摂っていたが、朝食では主菜と副菜を「毎日食べる」という回答が少なく、朝食内容の検討が課題である.
 5 対象者の栄養素等摂取量は栄養所要量に対してほぼ充足しており、たん白質やビタミン類の充足率が高かった.PFCバランスはたん白質エネルギー比が高く、糖質エネルギー比は低かった.
 6 栄養素等摂取量について、食習慣点数の8以上を高得点群とし、4以下を低得点群として比較した.高得点群は低得点群よりも充足率が高く、カルシウムとビタミンB2は有意な差が認められた(**p<0.01).低得点群の脂質エネルギー比は高得点群よりも高く、体重1kg当たり摂取エネルギー量では低得点群の方が低くなり、食習慣に対する積極性が毎日の栄養素摂取にも影響を及ぼしていると考えられる.以上より、母親に対する栄養相談会を実施したが、男子高校生の栄養指導には食事作り担当者である母親の協力ならびに理解が大切と思われる.