第2セッション演題3 褥瘡2症例に対する栄養介入報告
発表者 ○井塚ふみ子、島田道朗、島田達朗、中村みゆき、伊藤節子(恵庭南病院褥瘡対策チーム)、佐藤節子(北海道文教大学短期大学部) 
【目的】  結成まもない褥瘡対策チームが、褥瘡治療と栄養指標の改善にどのように貢献できたかを、栄養介入を中心に評価する.
【方法】  栄養アセスメントに必要な身長・体重記録及び生化学検査値が得られた男女各1名の褥瘡患者を対象とした.男性患者は73歳、パーキンソン病と塵肺を主診断名とし、仙骨部に褥瘡発生、女性患者は79歳、多発性脳梗塞とパーキンソン病を主診断名とし、同じく仙骨部に褥瘡発生.これらの患者に対して6月〜8月に実施された栄養介入と食事関連看護介入の情報をカルテより収集し、褥瘡評価点と栄養指標(体重、栄養摂取量、アルブミン値)にどのような影響を与えたかを調査した.褥瘡評価には日本褥瘡学会によるDESIGNが用いられた.
【結果】

 男性患者は入院時体重70%IBW、総蛋白5.7gBUN37mg/dlPEMかつ脱水状態があり、褥瘡は浸出液を伴い、DESIGN評価25点であった.回復のためのエネルギー必要量は1500kcal、蛋白質56gと推定されたが、摂取量減少傾向のため、A栄養補助食品125ml150kcal、蛋白質6g)を1日2回提供した.一方看護部によって、喘鳴による食事の中断を緩和する目的で患者の座り方が工夫され、かつ安眠促進のため体圧分散マットレス導入及び2時間ごとの体位交換が行われた結果、喘鳴頻度が下がり、栄養摂取量70%増、体重9.6%増、アルブミン3.3g/dl、褥瘡のDESIGN評価は17点に改善した.ビタミンC摂取量は約60mg、亜鉛約12mgと推定された.女性患者は入院時体重81%IBW、総蛋白5.6gPEMの状態、滲出液を伴う褥瘡のDESIGN評価は11点.嚥下困難のため胃瘻が導入された.栄養士はゼリーとプリンを経口的に13(300kcal)提供したところ全量摂取、1日の合計栄養摂取量は1200kcal、蛋白質38g,亜鉛5mg,ビタミンC70mgと推定された.8月末、体重6%増、アルブミン3.6g/dl、褥瘡部位は縮小して10点に改善された.