第2セッション演題1 病院食に於ける微量元素について
発表者 ○宍戸里奈、小玉恵三子、野本由紀子、佐竹麻実、平泉幸子(宮の森記念病院)
【目的】  微量元素の生理作用が解明され重要視されている。我が国に於いても第6次改訂日本人の栄養所要量に主な微量元素の摂取基準が示された。当院の一般食に於ける摂取量を通年、及び季節別に摂取基準との比較検討を試みたので報告する。
【方法】  調査期間は平成13年11月〜平成14年10月迄の1年間、季節別の春、夏、秋、冬は各3ヶ月とした。 対象は(一般食)常食及び粥食の成人(50〜60歳代の男女)熱量1500〜1800Kcal、蛋白質60〜65g、尚、微量元素は鉄・亜鉛・銅・マグネシュウ(以下Mg)・マンガン(以下Mn)とした。
【結果】

 通年の1日平均摂取量を各摂取基準と比較した。鉄・常食9.20、粥食8.75mgと常食の男8、女で23%の減、 亜鉛・常食15.0、粥食14.2mgと常食の男30、女で40%以上の摂取増、銅・常食1.09、粥食0.94mgと常食の男39、女で32%の減、Mg・常食244、粥食233mgと常食の男19、女で6%の減、Mn・常食2.76、粥食2.35mgと常食の男32、女で23%の減と亜鉛を除く全てが摂取基準を大幅に下回っていた。季節別でみると鉄、銅、Mg、Mnでは、冬が亜鉛では秋が若干ではあるが他の季節に比して増であったが、食材との関連性については明確にできなかった。また熱量1000Kcal当り鉄5.2、亜鉛8.4、銅0.6、Mg137、Mn1.6mgであった。よって全ての所要量を充たすには男では1930〜3000、女では1900〜2300Kcalとこの年齢では不適切な栄養量が必要となる。

【考察】  制限のない一般食で摂取基準を充たせないことから、治療食での充足率は極めて低いことが伺える。食材の選択や使用頻度、また効果的なサプリメントの使用法など今後の検討課題と考える一方で、銅のように必要量策定の科学的知見が不十分なものについても再検討を要望いたします。