第1セッション演題4 低蛋白食事療法の継続にあたって
発表者 ○佐竹麻実、宍戸里奈、小玉恵三子、野本由紀子、平泉幸子(宮の森記念病院)
【目的】

 腎疾患等において低蛋白食事療法が、きわめて有効であることは熟知しているがその継続には困難を要する。食事療法の重要性を認識して頂き、制限が多い食事を楽しみと高めるまで、当院ではどのようなシステムで対応しているのか、糖尿病性腎症の一症例に低蛋白食を提供した結果、腎機能指標は顕著に低下した。栄養士がどのように関わってこの結果が得られたのかを報告する。

【患者背景及び方法】

 糖尿病性腎症に脳梗塞を合併の58歳(男)入院前、糖尿病食、熱量27kcal/kg、蛋白質1.2g/kg、入院後は糖尿病性腎症食、熱量23kcal/kg、蛋白質0.8g/kg、塩分7g/dayに変更。提供期間は14週間。

*栄養科患者対応システム
(1)患者情報収集(入院後24〜48時間以内にカルテから及び患者と家族よ   り身体計測値、臨床検査値、臨床情報、食事歴)と食事内容の説明
(2)食事摂取モニター(全患者は2回/W、栄養介入者は頻回、食事形態及び   嗜好、喫食率等)
(3)栄養アセスメント(栄養状態の報告、食事以外の栄養補給の確認、臨床   データー(グラフ)の提示
(4)栄養指導(食事療法の必要性、退院後の食生活の具体的なプラン)

以上を骨格として患者対応。

【結果】  喫食率が60→100%となりBUN73→32、Cr5.0→2.9、UA10.1→5.6mg/dl、TP4.3→5.8、ALB2.5→3.3、Hb9.4→12.2g/dl、HbA1c5→6%と改善がみられ患者の満足度も高かった。
【考察】  医療の質保証が問われている現在、栄養士業務は高Levelにならざるを得ない。よって、いかに適切なシステムを構築できるかが最大の課題であろう。