第1セッション演題3

炎症性腸疾患患者への「リンゴ」エリミネーション・
ダイエットを試行して

発表者 ○武田環季、東貴代、竹内夕紀子、三岩富美恵、庄内惠、逸見トヨ子、吉田典代(北海道IBD食・食事療法研究会)、原博(北海道大学大学院農学研究科)、栃原正博、須賀俊博(札幌厚生病院消化器科)
【目的】

 クローン病の食事療法は現在も確立されていない。一般的に低残渣食に低脂肪・乳糖を控えた内容で実施されているが、個人差も大きく個々の食品を試行しながら各自にあった食品を見出す方法、これがイギリスの病院で行っているエリミネーション・ダイェットと呼ばれている選択的食事療法である。この一環として今回「リンゴ」を試行したので、その結果を報告する。

【対象と
  方法】
 緩解期を維持していてエリミネーション・ダイエットを希望するクローン病患者(CD)18名、潰瘍性大腸炎(UC)6名の計24名を対象とし、同負荷に関する説明を行い、同意を得た上で平成14年3月に、リンゴ(1個300g)を毎日1個づつ(開始2日間はリンゴを1/2個)計8日間(リンゴ7個) 摂取してもらい、その前後での全身の状態、腹痛の有無、排便回数をアンケート方式で確認した。
【結果】

 @24名中、中止したもの4名(CD3名、UC1名)いた。理由として、風邪による発熱、腹痛、口腔内のかゆみがあげられた。A男女比は男15名、女5名で年齢は17〜62歳、罹病期間は0.5〜26年であった。B食事回数は3回食11名(55%)、食事+成分栄養剤摂取併用者は9名(45%)であった。Cリンゴの食べ方は、1回(夕食後)に摂取したものが7名(35%)、2回に分けて(朝食後、夕食後)摂取したものが13名(65%)と分けて食べるほうが多かった。D腹痛に関して、痛みがあった者が11名(CD9名、UC2名)と半数を示した。E摂取後の感想として腹部膨満感・ガスがたまるなどの訴えもあったが、快便で体調が良いとの反応が多かった。

【結論】  リンゴは、摂取量を調整することで、より体調変化に及ぼす影響が少ないと思われた。また脱落した4名については、成分と炎症との検討が必要と思われる。