第1セッション演題2

精神科における集団栄養教室
−栄養改善がみられた一症例を通して−

発表者

○上山美香、中村友美子(札幌太田病院  栄養課)

【はじめに】  精神科では患者の食に対する意識や病識の稀薄、病状安定を優先するなどの理由により、退院後の食生活の乱れや生活習慣病の増加、最近では摂食障害などの増加が問題になっている。食習慣是正のための食教育の必要性を痛感している。
【集団栄養教室「トマトの会」】  入院患者を対象に日曜日の午後30分程を利用し月に1回実施している。@食事の重要性を理解させるA食生活指導の一環として栄養の知識を習得させるB食事療法などの知識を習得させるC入院者の意見を伺い日常業務に反映させるという目的を持つ。テーマは米・水・塩などの食材、三大栄養素・カルシウム・食物繊維などの栄養素、糖尿病・貧血・肥満などの食事療法など参加しやすいように設定し、事前にポスターを掲示し30名位の参加がある。
【事例】

  A氏・○歳・女性・統合失調症。入院前は菓子類のみ摂取。平成X3月の入院時はBMI25.6とやや肥満であった。おかずを食べたら太るとの思い込みから摂取量低下、1年で9kgの体重減少、貧血ぎみで偏食も多く個人指導を実施するが改善されなかった。平成Y10月開始のトマトの会に一回目より自主的に参加し、23回すべてに参加。「とてもためになっている。食事があまり食べられず、皆に心配をかけたが今では何でも食べられるようになりました」と感想を話された。A氏にとってこの会が食事の重要性を理解して頂くよい機会になったと考えられる。

【おわりに】

 精神障害者への栄養指導や食教育は今後ますます必要とされ、栄養士に求められることも多くなっている。内科疾患のない患者への食事指導は診療報酬の算定ができないため、トマトの会はサービスでの実施であるが、チーム医療の一環として食生活自立の支援に少しでも役立つことができれば幸いである。