第1セッション演題 1

糖尿病初期診断での栄養指導導入の有効性
−外来栄養指導を通じて−

発表者 ○斎藤千春、秋田まゆみ、大塚真奈(手稲渓仁会病院栄養部)、
 品田雅博(手稲渓仁会病院内科)
【はじめに】  高血糖初期診断後の栄養指導において、食生活習慣より栄養診断し、具体的行動目標を実践した一例を報告する。
【症例】

  51歳、女性。家族構成:夫、子供。家族歴:父親が糖尿病。現病歴:平成129月、検診センターの健康診断にて高血糖を指摘。同年12月、当院への紹介で内科受診、初回栄養指導の実施となる。栄養指導指示内容:診断名、U型糖尿病。指示栄養量、1600kcal。飲酒、不可。運動、軽度可。食生活状況:聞き取りにて、摂取熱量2890kcal(食事:2290kcal飲酒:400kcal、菓子類:200kcal)不規則な食事時間。運動習慣なし。

【経過】
 父親の合併症を見ており、食事療法には意欲的であったため、菓子・アルコールの禁止、食糧構成に基づいた食事の実施、食事時間の設定、運動の実施を初回時の行動目標とした。2回目以降はこれらの実践度を評価し栄養診断を行ない、行動目標を立案し、4ヶ月間栄養指導を継続した。これにより規則正しい食生活習慣が確立され、その後、半年ごとの栄養診断、評価とした。しかし、継続指導終了後1年間で家族の介護により生活環境が変化し、自己管理意識の低下と、食生活習慣、検査データ共に悪化した。そこで、再度栄養診断を行ない、現在は改善へ向けて食生活習慣の再確立を目指している。
【結果】  実施栄養量:12261615kcalから3291650kcal。検査データ:血糖値とHbA1c1212395mg/dl11.8%から329110mg/dl6.6%インスリンから内服薬への変更となった。現在の血糖値とHbA1c151mg/dl7.3%である。
【考察・
 まとめ】
 食生活習慣の問題点を具体的に抽出し、行動目標に沿った取り組みを行うことにより、規則正しい食生活習慣を確立することができた。しかし、生活環境の変化、自己管理意識の低下等により継続が困難な場合があり、患者の取り巻く食生活環境から、常に的確な栄養診断と評価を繰り返していくことが必要である。