演題 3 外来透析患者の栄養アセスメント(身体計測)
          ○田村麻紀 鵜野(札幌北クリニック) 遠山(石川泌尿器科) 塩谷(中野医院)
         伊藤(坂泌尿器科病院) 野本(宮の森記念病院)   透析食栄養士研究会
【目的】


 近年、透析患者の高齢化の進行は著しく、また、糖尿病性腎症も急激に増加している。このため栄養障害、特に低栄養が増加し、栄養管理を複雑で困難なものとしている。そこで、札幌市における透析患者の、身体計測値より、栄養状態が透析患者の予後に及ぼす影響について、検討を試みたので報告する。
【方法】

 札幌市内5施設の325症例(男210、女115名)について 維持体重、BEE,基礎代謝基準値を算出し、第六次改訂の性、年齢階層別基礎代謝基準値と基礎代謝量とを比較した。さらに、BMIを透析年数、年代別、糖尿病の有無別に検討した。
【結果】





 維持体重は第六次基準値と比較すると、各年代の男女とも4〜14%低く、基礎代謝基準値も同様に10〜20%低かった。BEEでは男性は各年代ともに5%低かったが、女性では差が見られなかった。次にBMIでのやせすぎは男22、女41%、やせぎみではそれぞれ22、24%と 低栄養を示す数値は対象者の40〜60%以上と高値であった。BMIを透析年数別で見ると、透析年数が長くなるほど、やせの割合は減っていった。糖尿病性腎症は男女ともに15%で、その90%以上が50代以上であった。BMIでは30%以上が低栄養を示し、透析年数15年以上は存在しなかった。なお、性別、年齢、透析年数とBMIとに相関はみられなかった。
【考察】


 低栄養の指数が、導入から早い年数に分布していることは、保存期からの栄養状態の関与が大きいと考えられる。また糖尿病性腎症で透析年数が比較的短いことは、糖尿病合併症のリスクの高さを示唆していると考えられる。今後、食事摂取モニターにて摂取栄養量との関連性も検討したい。