演題 13 排泄促進ゼリーの効果について
                          ○佐竹 麻実    野本 由紀子
                          小玉 恵三子   平泉 幸子(宮の森記念病院)
【目的】
 「食と排泄のハーモニー」は重要である。便秘にて食欲不振を訴えた入院患者に排泄促進ゼリー(以下,ゼリー)を提供し,排便コントロールを試みた結果,改善が得られたので報告する。
【対象

方法】


 調査対象28症例(♂10,♀18) 平均年齢68.4歳を習慣性便秘群15症例(♂4,♀11)と入院により便秘を生じた正常群13症例(♂6,♀7)との2群に大別し,更に便秘群に於いては入院前より下剤の服用(有)群8症例と(無)群7症例とに分けた。ゼリーはセンナ(薬理成分センナサイド),食物繊維,緩下作用のある糖アルコールを材料とし,1〜2個/日提供し排便回数や便性状の変化を観察した。また食事量,食物繊維量,水分摂取量の影響の有無についても検討した。
【結果】







 便秘性習慣群で入院前より下剤を服用(有)群では,入院後も下剤を継続。排便回数は1回/2〜3日で兎糞便が80%にみられたが自力排便が不可の症例もあった。ゼリー喫食後は2〜4日前後にて排便回数が1回/日と正常便に移行した症例が88%を占め,下剤の服用を中止した症例が38%。下剤(無)群では食品効果(食物繊維など)によりコントロールを試みている症例が大部分で排便回数,便性状は下剤(有)群と同様であったが,ゼリー喫食後は1回/日で正常便に移行が86%。正常群ではゼリー喫食後,そのほとんどが24時間以内に排便があり正常便に移行が92%であったが、腹痛や下痢症状を伴った症例も15%あった。退院後もゼリーを継続している症例も少数例ある。食事摂取量は熱量1350kcal,食物繊維13.0g,水分2500mlで,これらと各群の改善率の間に統計的な有意差はみられなかった。
【考察】
 栄養士業務の中における食事摂取モニターの重要性を再認識した。「臨床栄養サービス」という新しい分野を学びながらの対応が私達に求められている事を学んだ。