第14回 北海道IBD食・食事療法研究会を開催して

北海道IBD食・食事療法研究会代表
               吉田 典代


 この度,イギリスのケンブリッジ大学附属アデ ンブルック病院より,クローン病食事療法のエ キスパートであるアレックス栄養士をお招きし, イギリスにおけるクローン病の食事療法につい てお話を伺いました。対象者はクローン病の患 者さんと,その栄養管理に当たる栄養士で,北 海道の栄養士だけでなく関西方面からもたくさんの参加があり,大変有意義な講演会でありました。
 お話の内容を要約しますと,食事療法がいかに重要であるかを強調され,薬物療法と食事療法の比較を血液検査と骨密度で現し,エビデンスとして示されました。ただ食事療法が良いと言っても,食事療法は制限も多く,ストレスが加わり,長期に渡って行うことは難しいが,きちんと調査研究を行い,納得のいく様に患者さんに理解をしていただくことが大切である,と痛切に感じました。そのためには,医療関係者は一丸となって患者さんを励まし,サポートを行っていかなければならないこと,まだまだ日本はそこまで進んでいないことが確認させられる様なお話でありました。
 また,ケンブリッジ大学のハンター教授は,現在クローン病の患者さんの便中にカルプロテクチン値が高値を示していることに注目して,クローン病の治療効果の指針にしていることをお話されました。大変興味深い内容であり,その論文が期待されています。栄養士サイドでも食事の調査研究に当たっている等,多くの宿題を与えられた気持ちになりましたが,参加者全員が食事療法が重要であるということを認識した講演会となりました。
 *講演会終了後は,クローン病の食事を見ていただきたく,アレックスさんを囲んで日本のクローン病食を試食していただきました。患者さんから質問攻めにあっておられました。  以上



   

講演するアレックス氏(中央),病棟に出向き患者さんと接するアレックス氏(右)

第14回北海道IBD食・食事療法研究会

日時: 2004年7月25日(日)13:00〜17:00
会場: 札幌厚生病院  札幌市中央区北3東8
会費: 無料

【プログラム】
13:00〜13:10 開会の辞 須賀俊博 札幌厚生病院院長
                         北海道IBD食・食事療法研究会 顧問
13:15〜14:15 講演 「最近のクローン病の治療」
座長 札幌厚生病院副院長 今村 哲理
講師 札幌厚生病院小児科部長 今野武津子
    札幌厚生病院第一消化器科部長 本谷 聡
 −質疑応答ー

14:20〜15:30 特別講演 「英国におけるクローン病の食事療法について
司会 吉田典代 北海道IBD食・食事療法研究会代表
講師 アレックス リオダン 栄養士(Alexandra Riordan)
元ケンブリッジ大学附属アデンブルック病院 クローン病専任栄養士

15:40〜17:00 ティタイム,フリーディスカッション
          −アレックス栄養士を囲んで−
17:00〜 閉会の辞 北海道IBD食・食事療法研究会代表

★2004年 7月30日付 医療新聞に掲載されました