栄養士のつぶやき No.9

いただきます!

函館短期大学付設調理師専門学校 伊藤 美樹

 「いただきます!」元気な声と共に、自分達で作った料理を満足そうに食べる新入生。まだ、おぼつかない包丁さばきで魚と格闘しながら、ようやく出来上がった料理に、よろこびもひとしおのようです。
食事を食べる前の「いただきます」。ごく自然に出てくるはずのこの言葉ですが、学校で昼食をとる学生達の間からあまり聞こえてこないのが気になります。
食事をする前のあいさつは、国によって様々ですが、この「いただきます」という日本語の意味をあらためて見つめ直してもらいたいと思います。
「いただきます」とは、「植物なり動物なりが育んできたその命を奪い、そして自分の生きる力にさせていただく」という意味で、食物への感謝の気持ちが込められています。
育った命を頂き、そして食物に感謝して食べる。さらには、食物を作り育ててくれた人たちをはじめ、沢山の人の手によって、ひとつの料理が作られることに深く感謝する気持ちにもつながります。
日本は食が豊かであると言われる一方で、食料自給率の低下や食べ残しの問題、生活習慣病など、食に関するさまざまな問題があります。
これから調理の世界で「食のプロ」を目指そうという学生達には、とくに「いただきます」の精神に立ち返り、感謝の気持ちを持って、健全でバランスのとれた日本の食文化を守っていってほしいと願います。そして、食事の後は、「ありがとう」と添えたいですね。



【紹介者:北海道栄養士会函館支部病院栄養士協議会 新都市砂原病院 管理栄養士 阿部 和香子


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