栄養士のつぶやきNo.79|特別なもの

留萌市保健福祉センターはーとふる 髙橋梢

私は酪農家の家庭で育ちました。父方祖父母、両親、姉と6人家族で小学生まで一緒に暮らしており、ごはんは祖母が作ってくれることが多かったです。

酪農家なので、家の周りはもちろん牧草地、隣の家といっても500mほど先。道路の横には放牧された牛、牛舎には牛のえさを食べに来るリス、両親と一緒に牧草地に行けば鹿やうさぎがいる、そんな環境で育ちました。こんな田舎ですが、自然豊かで家の近くではワラビやフキ、ウド、きのこなど山菜がたくさんが採れたので、小さいころの好きな食べ物はウドの酢味噌和え、煮物に入っているワラビやフキ、落葉きのこのお味噌汁でした。今思えば渋いものが好きだったな~と思います。おやつといえば祖母が作るかぼちゃだんご、姉とおやつを作ったり、薪ストーブだったのでさつまいもを入れて家族でやきいもをしたり、子牛が生まれたら大きいお鍋に牛乳を沸かして母と祖母が牛乳豆腐を作ったりと、動物がいて山菜が採れて、海もある、それが私にとって普通の生活でした。しかし、大学へ進学し、友達との会話のなかで地元、実家の話題になったときに、家に牛がいることなど驚かれることもあって、「あ、私が育った環境ってちょっと変わっていたのかな、おもしろい環境だったのかな」と思うようになりました。

中学生のときには新しく家が建ち、それをきっかけに2世帯となったため、祖父母と別世帯となり、それからは毎日、母が作るごはんに。

母の料理で一番好きなのはオムライス。私は高校時代、よさこいをやっていました。練習に行くため、家族で一緒にごはんを食べられないときによく作ってくれていました。今でもふと食べたくなるときがあります。自分でも作りますがなんだかイマイチ・・、お店のオムライスも最初は「おいしい!」と思っても正直、最終的には飽きてしまうことも・・。

このように、だれにでも「特別な食べもの」「特別な味」といったものがあるのではないでしょうか。私の特別な食べものは母の料理だけではありません。最初に述べたように祖母の料理も特別な味です。それも、父方の祖母だけでなく、母方の祖母の料理もです。お正月などに遊びに行くと、よく五目しょうゆごはんを作ってくれていました。作ってくれていたというより、「なにが食べたい?」と聞かれ、私がいつもリクエストしていたと言う方が合っているかもしれません。遊びにいくときは私が言わなくても祖母から「しょうゆごはんかい?」と聞かれるようにまでなり、母からは「また?」と笑われるほど大好きでした。作り方を聞こうと思っているのにいつも忘れてしまい、未だに聞けていません。次に帰ったときには必ず聞きたいと思います・・!

私の特別な味は、母、祖母たちの料理だけではありません。父、祖父たちからも特別な味をいただきました。といっても料理はほぼできません(笑)父たちが作ってくれたのはココアやコーヒー牛乳など飲み物です。

家族全員、とくにこだわりをもって料理をしているわけではありません。ふつうのごはん、飲み物です。でも家族の料理って家族だからこそ食べられるもので、特別なものだなと私は思っています。

家族から今まで「特別」をたくさんもらった分、これからは私が「また食べたいな」「また飲みたいな」と思ってもらえるような「特別」を作ってあげられたらと思います。

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