栄養士のつぶやき No.42

「児童養護施設での支援を考える」

旭川支部 福祉 旭川育児院 佐藤めぐ美

 児童養護施設というと皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?親のいない孤児が生活する施設?それは一昔前の話です。児童福祉法41条によると「児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童など、環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設」と定義され、現在では養育不可能な家庭の子どもや虐待を受けた子どもが多くを占めています。私の勤める旭川育児院もそのケースがほとんどといえるでしょう。

児童養護施設というと多くの方々から支援や援助を受ける機会があります。私が関わっている食材に関していうと、お米や農作物、お菓子、ジュース、ケーキetc.栄養士の立場からすると各都道府県の名産果物や地元の野菜は非常にありがたく感じています。しかし、お菓子、ジュース、ケーキといった子どもたちが喜びそうなものを頂くと複雑な気持ちになるのです。子どもたちのために頂いたものですからすべて食べさせてあげたいところですが、子どもの健康を考えるとすべてを与えることはできません。ケーキは生もので賞味期限があるためすぐに提供しますが、お菓子は何回かに分けて提供です。毎日お菓子を提供するわけにはいかないため、賞味期限を迎えてしまうこともあります。

当院では毎日おやつを15時に提供しています。食事とのバランスを考慮し、カルシウムが不足している日は飲むヨーグルト、食物繊維が不足している日はポップコーン、週に1回は手作りおやつとして豆乳などを使ったおかし、子どもたちの少ないお小遣いを使わなくてもいいようにアイス類も提供します。入所児童は変動が少ないのでサイクル献立にすることが難しく組み合わせや新しいものの導入に頭を使い献立を作成しています。

私たち児童養護施設の職員は入所児童を養護、養育をすることが目的です。整えられた日常生活を継続させ施設を巣立つ子どもたちが健康な生活を営めるようサポートしていくことが必要です。「施設にいた頃は毎日寄贈のお菓子ばっかり食べていた。」と社会に出てからも偏った食生活を送ってほしくはありません。

児童養護施設へ何かしたい。児童養護施設に何ができるか。そんな時は、将来的に子どもたちが健康な生活を送ることができるような支援に目をむけていただけたらと考えます。

私ひとりがこの「栄養士のつぶやき」で声をあげてもかわらないかもしれませんが、共感や賛同してくれる方がひとりでもいていただけることを願います。


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